式辞
本日は第六十四回卒業式に際し、保護者のみなさまのご臨席をたまわり、このように、本校体育館に多くの方が集って式が挙行できますことに、まずもって、職員を代表し心からお礼を申し上げます。また、人数制限を守っていただいてのご参列、誠にありがとうございました。
　さて、三年生のみなさん、ご卒業、おめでとうございます。
最後に私は今日、このことについて話しをします。（字をみせる）「主」という字です。
この字の由来を知っていますか。主と言う字は、「、」と「王」の部分に分かれます。「、」は、ろうそくの炎、「王」は台のことを表しているそうです。自分のいる環境を照らして生きる人のことを主と言います。命の炎を燃やして生きることは、自分が自分の人生の主人公となって生きることです。
みなさんには、ことあるごとに、「二中プライド」自分に自信をもって、勇気を出して行動しようと話をしてきました。その自信や勇気で、命の炎を燃やし続け、夢や目標を実現していってほしいと願っています。

　みなさんは水泳の池江利香子さんという２０歳のアスリートをしっていますか。
みなさんが中学一年生の時の今ごろ、今から約二年前、白血病という病気にかかりました。彼女は、誰でもが認める東京オリンピック選手候補でした。十代の彼女は失意で落ち込みますが、常に前向きな気持ちを忘れずに治療に専念しました。水泳で鍛えた体力や筋力はなくなってしまいましたが、なんと発症から一年半、去年の夏ごろにプールに入り、泳げるようになるまで回復することができました。もちろん以前のようには速く泳げません。しかし、そんな中でも決して夢をあきらめずに、頑張って練習をし続け、先月の国内大会で見事優勝することができました。今度は今年の東京オリンピックの出場を狙っていることのことです。白血病になってしまったことはとても残念なことです。しかし、新型コロナウイルス感染防止のためにオリンピックが、去年から今年に１年先に伸びたこと、重病である白血病が回復したことで、彼女は、あきらめかけていた東京オリンピックへの舞台に今一度、挑戦しようとしています。彼女は闘病中もそして、病に勝った現在も命の炎を燃やし続けているのです。
どうか、この先、自分の人生の主人公はみなさん、一人一人です。人生何がおきるかわかりません。どんな時も、自分を見失わず、最後まで、決してあきらめずにがんばりましょう。
　
　みなさんの胸には素敵なコサージュがついていますね。これは、地域の方。保護者の方がみなさんの人生に幸あれと願いながら手作りで作ってくれたものです。みんなが応援しています。そして、今日から本校はみなさんの母校になりました。電車から学校が見えますね。何十年経ってもここで過ごしたこと、がんばったこと、先生に怒られたことなど、多くの思い出が、みなさんの長い人生の貴重な財産になることを祈り、式辞といたします。
　　令和三年三月十九日
小平市立小平第二中学校長　阿部善雄