これは何の写真かわかりますか。私が教員生活で最後の担任をした花南中のときの写真です。他の学校から異動して３年生の担任になりました。私にとって忘れられない学年の生徒たちです。この話でわかった人もいると思いますが、教員として勤めていた花南中に昨年副校長として戻ってきました。そして驚いたことがあります。それは花南中があの頃と変わっていないことです。公立の中学校は先生の入れ替わりがあります。当たり前ですが生徒の皆さんは３年間の中学校生活を終えて卒業していきます。それなのに当時担任として素晴らしいと感じたそのすべてが脈々と受け継がれていたのです。「男女仲が良いこと」「先生と生徒の仲が良いこと」「委員会を頑張ること」「行事に燃えること」など…　花南中以外の学校でも頑張っていると思いますが、花南中は特別なのです。これらのことは、決して楽しいことばかりではなくときには苦しいと感じることも多いと思います。例えば行事などで一致団結できるのは得意な人だけが頑張るのではなく、苦手な人を巻き込んで頑張るところがすごいのです。しかし、今年の３年生からしてみれば「そんなこといったって…」という思いになる人がいると思います。花南中の伝統は毎年の３年生が背中で後輩に手本を見せ、それにあこがれた後輩が先輩を超えようと努力してきた成果で造り上げられたものです。今年はそれができません。後輩に最高の姿を見せたくてもその場がなくなってしまったからです。それでも私はあえてこの話題を選びました。皆さんが決してコロナになんかに負けないと信じているからです。３年生に与えられた場面はほんのわずかかもしれません。一見すると面白みがなく伝えにくい場面しかないかもしれません。それでもその瞬間に３年生のありったけの思いを込めてほしいと願っています。来月には離任式を予定しています。この離任式は校庭で行うことを計画しています。それは花南中の校歌を皆さんの生の歌声で離任する先生方に届けてほしいと願うからです。練習も不十分かもしれないし、マスクで声は聞こえにくいかもしれない。それでも私は皆さんの熱い思いが離任した先生方に必ず伝わり、感動的な離任式になると信じています。さて、１，２年生は３年から部活動の引退に続き、この１０月にバトンを受け取ります。１，２年生の皆さんは残りわずかの３年生と一緒に過ごすチャンスを一瞬も逃さず受け止めてください。今年の３年生が先輩からの伝統を後輩に伝えるため、運動会や合唱コンを楽しみにしていたか。そして、それが実現しないと知ってもしっかり前を向いて最大の難関である進路に向かっていく強さを。そのような気持ちや姿を想像し、しっかりとバトンを受け取ってください。これまでの卒業生たちがつなげてきた母校への思いを絶対絶やさないと強く心に決めてください。先生たちも今一緒に乗り越えようとしている皆さんの姿を後輩たちに必ず伝えていこうと心に決めています。職員室の合い言葉は「チーム花南」です。先生たちは君たちを支え続けます。「頑張るときはいつも今」現状を嘆くことなく一緒に頑張りましょう。

花小金井南中学校　副校長　伊藤克行