学校支援ボランティア活動
(小平地域教育サポート・ネット事業)
実践マニュアル

小平地域教育サポート・ネット事業実践マニュアル検討委員会


目      次

1 ボランティア 
                    
(1)学校支援ボランティアの活動とは                
(2)ボランティアが学校に貢献できることとは            
(3)学校支援ボランティアの有効性とは               
(4)学校支援ボランティアの基本的な考え方             
(5)学校支援ボランティアの活動内容について            
(6)危機管理(リスクマネジメント)について            
(7)保険について
                         
2 コーディネーター 
                  
(1) コーディネーターとは                   
(2) コーディネーターの役割                 
3 学 校 
                       
(1)学校の役割
                       
4 教育委員会の役割  
               
(1)環境の整備                        
(2)事業及び参加者募集のPR                 
(3)財政面の支援                       
(4)情報提供                         
(5)相談窓口  

地域の力を学校に
地域が輝く! 子どもたちが輝く!
 小平市教育委員会では、平成13年度に策定した、「21☆こだいらの教育改革アクションプラン」に基づき、世代を超えたコミュニティづくり並びに開かれた特色ある教育活動を展開していたこともあり、東京都の地域教育サポート・ネット事業モデル地区の指定を受けて、平成14年度からの3ヵ年、二中地区の4校(小平第六小学校、小平第十三小学校、小平第十五小学校、小平第二中学校)を対象に学校支援ボランティア及びコーディネ−ターの養成等のための事業を実施してきました。
 この事業を3年間実施して、地域社会のもつ教育力・地域住民が有する教育資源を効果的に学校教育に導入していく上で、有効な仕組みであることが実証され、「開かれた学校づくり」を地域の側から誘発する結果にもなりました。現実に学校支援ボランティアからは「子どもたちから元気がもらえた。」「いきがいなどを感じている。」などの声を聞くことができ、コーディネ−ターからは、「学校や子どもたちのために活動し、成果が上がることで達成感や充実感を感じている。」との声を聞くことができました。学校においては、学習サポートのおかげで学校が活性化してきたなど、効果も着実にあらわれています。平成16年度は延べ3万人を超える学生ボランティアや地域の方々が学校支援ボランティアとして小・中学校に入っており、「地域に開かれた学校」が定着しています。
 今後とも、中・高年の社会参加活動を促して、地域の教育力を回復させるとともに、地域住民の学校支援ボランティアへの参加及び学校と地域を結ぶコーディネーターの育成をさらに図っていきたいと考えております。また、より一層地域に開かれた特色のある教育活動を推進することを目指し、平成17年度からは小平市単独事業として、継続実施し、二中地区以外の学校への拡大も図っているところです。
 一方、「地域に開かれた学校づくり」の事業推進に当たっては、行政、学校、ボランティア及びコーディネ−ターについて、それぞれの役割や活動に伴う基本的な考え方を明確にすることが急務となっています。
そこで、学校、コーディネ−ター世話人、教育委員会事務局で構成する「小平地域教育サポート・ネット事業実践マニュアル検討会」において検討を行い、今般、指針としてまとめたので、今後の学校支援ボランティア活動推進の参考にしていただければ幸いです。

        平成18年2月
            小平地域教育サポート・ネット事業実践マニュアル検討会

1 ボランティア   

(1)学校支援ボランティアの活動とは

@ ともに学びあう(生涯学習活動)
 学校を拠点に学校支援ボランティア養成講座等を学校やコーディネーターと協力して企画し、学ぶ姿を伝えたり、子どもとともに学んでみてください。
A 学びをわかちあう(教育サポート活動)
 知識、知恵、技術、経験を授業やクラブ活動などの教育活動のために提供してください。
B ゆたかな学校を作る(学校環境づくり活動)
 学校の施設や校庭等の環境整備に協力したり、行事に参画してください。
C コミュニティでの学びをひらく(地域教育サポート活動)
 子どもたちが地域社会で体験的に学ぶ機会や教材、知識、技術などを提供してください。


(2)ボランティアが学校に貢献できることとは

@ 精神的成長への貢献
 子どもたちが、自分の限りない可能性や人生の意味や目的などを理解するための機会を提供できます。
A 道徳心や実践力への貢献
 子どもたちが、正義感や倫理観、権利と義務などを正しく認識し、実践できるための機会を提供できます。
B 社会的成長への貢献
 子どもたちが社会の一員になるために必要な知識やコミュニケーション能力を体験的に習得し、自立した市民になるための機会を提供できます。
C 文化的成長への貢献
 子どもたちが、豊かな創造力を身につけたり、文化や風習の違いを尊重する気持ちを育む機会を提供できます。
D 学問的成長への貢献
 子どもたちが、自ら学ぶことの目的や意義を発見し、意欲的に学問を探求していく意識を育くむとともに、生涯にわたって学び成長しつづけることの意義を発見する機会を提供できます。


(3)学校支援ボランティアの有効性とは

@ 学校への有効性
 学校が地域住民に教育への参加の機会を開くことにより、組織を柔軟にし、学校に対する地域住民の認知度が高まります。
A 教育カリキュラムへの有効性
 新たな教育課題の克服のために、地域住民などが持つ多彩で多様な教育力を活かすことができます。
B 教員への有効性
 ボランティアの参加により、子どもたちが学校生活を豊かにし、学習意欲を高め、教員が行う教育活動への興味や関心を深めることができます。
C 児童・生徒への有効性
 地域住民との多様なふれあいを通して、生きた学問を学ぶことができるとともに、多様な体験学習などを通して生きる力を育むことができます。
D 地域社会への有効性
 保護者や地域住民の教育への参加意識を高めたり、人々の生きがいを創出したり、地域活動の活性化などに寄与することができます。


(4)学校支援ボランティアの基本的な考え方

@ 資格について
 資格は必要ありません。地域に住んでいて、子どもを温かく見守る気持ちがあれば、どなたでもできます。
A 活動を始めるにあたって
● 各学校でボランティア登録をしていただきます。(必ず活動要請があるとは限りません。)
● 学校の要請に応じて活動していただきます。
● 登録の変更や取り消しも可能です。
● 登録期間は各学校にお尋ねください。
● 各学校には、学校と地域を結ぶコーディネーターがおり、説明を聞くことができます。


(5)学校支援ボランティアの活動内容について
   学校の要請があれば、下記のような活動をしていただきます。

@ 学習支援ボランティア               
● 教科学習の補助
● 総合的学習の時間の補助
● 校外学習の引率
● 水泳指導補助
● パソコン授業補助
● クラブ活動補助など
A 環境支援ボランティア
● 花壇、芝生の手入れ
● ビオトープの整備
● 子どもの安全確保(通学時の見守り、朝の声かけ)
B 図書ボランティア
● 本の整理、修理
● 本の貸出・返却受付
● 読み聞かせなど
C ボランティアの心構えについて
● 教員との約束やボランティア同士の約束を確認しましょう。
● 約束の時間の5分前には学校へ行くようにしましょう。
● 人との出会いを大切にしましょう。
● 共に学びあう心を持ちましょう。
● できるところから始めましょう。
● 子どもたちのプライバシーや秘密を厳守しましょう。
● 宗教や政治のことを持ち込まないようにしましょう。
● 意見の食い違いなどがある場合は、その内容を確認し、誤解を解く努力をしましょう。
● 服装は自由ですが、清潔で常識的な範囲を守りましょう。
(具体的には … ピアス可、香水不可 など)
● 不明な点や、わからないことがあったら、遠慮なくコーディネーターに相談してください。


(6)危機管理(リスクマネジメント)について

「リスク」というと、活動中のけがや事故をイメージし、その対策として「保険に入っておく」というのが一般的です。本事業では、市民総合災害補償保険に加入しており、ボランティア自身がけがをした場合や、逆にボランティア自身が、けがをさせてしまった場合にも対応しています。
それ以外にも活動中の安全確認や災害が起きた際の避難場所を確認しておきましょう。事故や問題などが発生したときや不審者等と遭遇した場合の連絡先や連絡方法なども確認しておきましょう。


(7)保険について
    小平市で加入している市民総合災害補償保険で対応します。

                   
2 コーディネーター  
    
(1) コーディネーターとは

 コーディネーターは、この事業を実施していくために、ボランティアとともに必要不可欠な存在です。学校と地域をつなぐパイプ役として、学校の求めに応じて、次のような活動をしています。
@ 学校と学校支援ボランティアとの連絡調整を行います。
A 総合的な学習の時間などにおいて、担当の教員の求めに応じ必要な人材をコーディネートします。
B 学校と協力して、学校支援ボランティア養成講座などの企画や運営を行い、必要な人材の確保や、ボランティアのスキルアップを図っています。
C 必要に応じて、学校や学校支援ボランティアの相談にのります。
D その他、学校の求めに応じて活動します。


(2)コーディネーターの役割

@ ボランティアマネジメント
 学校支援ボランティアの「思い」や「願い」を自己満足に終わらせることなく、空回りしないで確実に成果をあげていくために、まず環境を整えていくことが重要な役割としてあげられます。これを「ボランティアマネジメント」といいます。具体的には、コーディネート、トレーニング、カウンセリングなどがあります。
コーディネ−ターは、ボランティアと学校との間に立っています。学校のことと同時に、ボランティアが何を求めて活動しているかを考えながら、マネジメントできるといいでしょう。
A コーディネート
 学校の求めに応じて、総合的な学習の時間などにおいて必要な人材や教材などをコーディネートします。また、学校と協力して、催しもの企画や刊行物の編集を行うこともあります。コーディネーターが参画することで、地域や保護者の視点が入り、より良いものを作ることが可能になります。
B トレーニング(研修)内容の検討、実施
 自分自身も含め、現在活動しているボランティアのスキルアップは必要不可欠です。学校支援につながる内容で、ボランティアから、「こんなことを学んでみたい」、学校から「こんなことを学んでほしい」などの要望や、自分自身のために、必要な研修はどんなものかを考えてください。学校や教育委員会職員と相談のうえ、講座を開催するなどして、よりよい活動に努めてください。
C カウンセリング(傾聴)
 ボランティアと接する機会は、教員よりもコーディネーターの方が多いと思います。必要に応じて、ボランティアの想いや抱えている疑問や悩みを聞いてあげてください。自分で解消できない問題は、学校や教育委員会職員に相談してください。

             
             
3 学校

(1)学校の役割

@ 目標と展望を明確にする
 それぞれの学校には地域性や校長の考え方の違いなどもあり、学校の目標も当然違います。学校は目標や展望、ボランティアやコーディネーターに望むことなどを明確にし、それらを関係者全員で共有することが必要です。
 また、目標を達成するための戦略的なプランを決めるのが「展望」です。誰が、何を、誰のために、いつ、どうやってやるのかを考慮しながら策定する必要があります。できれば、関わるボランティアやコーディネーターなどと作り上げるとともに、展望についても目標に合っているのか、学校の要求に合っているのかを常に見直すことも必要です。

A プログラムの企画
 目標と展望が明確になったら、以下の点を含めた、具体的なプログラムを作成します。
● プログラムの目的
どのような成果を求めているのかを具体的にボランティアやコーディネーターに説明し、協力を求めます。
● 活動の内容
 その目的を達成するために、具体的な手順や方法、予算などをきちんとボランティアやコーディネーター及び教育委員会職員に説明します。
● 責任の範囲
 ボランティアやコーディネーターと教員の役割分担や指揮系統はどのようにするのかなども決める必要があります。また、他の教員が「ボランティアとの協働」についてどのように考えているのかも認識し、場合によっては教員に対する働きかけなども必要になってきます。
● 必要な人数や募集方法
 ボランティアやコーディネーターの役割が決まったら、ボランティアの必要人数や、どのように募集するのかを検討します。
● ボランティアへの気遣い
 ボランティアにもメリットがなければ、なかなか活動を継続することができないものです。メリットは多くの場合、楽しさ、充実感、達成感などですが、場合によってはスキルアップ、ネットワークなどの実質的なものの場合もあります。ボランティアが何らかのメリットを得ることができるようなプログラムづくりや気遣いもボランティアが定着する要因の一つです。

B 場所の確保
場所の確保はボランティア活動にとって大きな課題です。専用の部屋でなくても構わないので、いつでも使える部屋を用意すれば、それだけでもかなり活動しやすくなります。

C ボランティアの募集
 「ボランティア活動をやりたい」という気持ちはさまざまで、やりたいことや得たいことも人それぞれです。学校も「どういうボランティアに活動してほしいか」という条件もさまざまです。つまり、「ボランティアを募集する」ということは、ボランティアのニーズと学校のニーズを適切に結びつける
ということなのです。
そこで、募集に当たっては下記のことに留意してください。
● どのような活動をしてもらうのか。
● どのような能力、スキルを持った人が必要なのか。
● どのような時間帯に活動できる人が必要なのか。
● どのようなことがボランティアに提供できるのか。

 間違っても、下記のような理由で募集はしないでください。
● コスト削減のために安価な労働力がほしい。
● プログラムも活動もないけれど、とりあえず数だけそろえる。
 よくある事例としては、「なんとなくボランティアしてみたい」という人を「なんとなくボランティアに登録したり、お願いしてしまう」というパターンです。ボランティアにとっても、学校にとっても不幸な結果になってしまいます。「よくわからないけど、とにかくボランティア活動したい」という人は意外と多いものです。そうした応募者をうまくボランティア活動につなげていくためにも、ボランティア活動を始めてもらう前に、学校の要望や活動においての注意点などを具体的に話し、学校の要望に反した行動をとった場合には、ボランティア活動の中止を求める場合もあることも伝えてもいいでしょう。

D インタビューとマッチング
 「インタビュー」とは、ボランティアをやってみたいと考えて学校にアプローチしてくれた人が、どのような思いをもっているのかや、どのような希望をもっているのかを聞くというプロセスです。
「マッチング」とは、そうした人のスキル、ノウハウ、そして思いをボランティア活動につなげていくプロセスを意味します。学校の中でボランティア活動をする場合、マッチングは必ず行われていますが、インタビューを行っている学校は少ないかもしれません。学校行事などのイベントで数多くボランティアを集めたい場合はむずかしいですが、一定のスキルを必要とする場合や、継続的に活動してもらいたい場合は、書類上のやりとりだけでなくインタビューも行った方がスムーズに進みます。

E オリエンテーション
 「オリエンテーション」とは、ボランティアに対して、ボランティアと学校との関係を明確にし、活動の方向性を認識してもらうための情報を提供する場です。学校とボランティアとのトラブルを防ぐためにも必ず実施してください。
具体的には下記のようなことを説明するといいでしょう。
● 学校について
    ・学校の歴史
    ・学校の教育目標
    ・学校の組織
    ・学校の活動内容
    ・児童・生徒の様子 など
● ボランティア活動のルールなど
    ・ボランティア活動のマナー(ルール)
    ・ボランティアに求められるもの
    ・ボランティアに提供されるもの など
● 活動しやすい雰囲気づくり
    ・教員・コーディネーターの紹介
    ・児童・生徒への紹介
    ・すでに活動しているボランティアの紹介
    ・質疑応答 など
● その他活動のために必要なこと
    ・リスクマネジメントについて(災害時の対応・不審者の対応など)
    ・その他
                  


4 教育委員会の役割

 教育委員会では本事業を継続実施し、市内全域に拡大を図っていきたいと考えています。本事業を推進するためには、行政、学校、ボランティア及びコーディネ−ターの連携が必要不可欠です。そこで、学校、ボランティア及びコーディネ−ターがスムーズに活動できるための環境整備に努めてまいります。
 具体的には、市内各校を訪問し、学校の状況や要望を把握したり、多くの教員が、ボランティア及びコーディネ−ターの活動を理解できるようにするための啓発活動を展開していきます。その他、教育委員会の役割については下記のとおりです。

(1)環境の整備
 教員がボランティアやコーディネーターの重要性を認識するように、啓発活動などを実施し、ボランティアやコーディネーターが活動しやすい環境の整備に努めます。

(2)事業及び参加者募集のPR
 市民に事業を理解してもらい、多くの人にボランティアやコーディネーターとして活動してもらうために、事業をPRしていきます。
また、市報や市のホームページを通じて、不特定多数の人に参加を呼びかけることで、地域に眠っている人材の発掘につなげていきます。

(3)財政面の支援
 本事業では、学校支援ボランティアの募集やスキルアップのための講座を開催する際に講師謝礼などを負担します。

(4)情報提供
 行政の強みの1つは情報の多さです。学校やボランティアには入ってこない情報もあるものです。学校やボランティアにとって役立つ情報を必要に応じて提供していきます。

(5)相談窓口
 ボランティア活動中に、自分のプライバシーや秘密を漏らされたり、セクシュアルハラスメントなどをされたなどのトラブルに巻き込まれた場合は、すみやかに学校や教育委員会職員に報告してください。
 その他、本事業に関することで不安に思うことや聞きたいことがあれば、気軽に相談してください。

額縁: 学校支援ボランティア活動実践マニュアル
(小平地域教育サポート・ネット事業)
平成18年2月発行
編集・発行 小平地域教育サポート・ネット事業実践マニュアル検討会
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